Magic: the Gariu

『マジック:ザ・ギャザリング』(MTG)関連の様々な情報を追い求めるブログです。

マジックのビヒモス

旧約聖書に登場する怪物として知られる「ビヒモス」。他にも「ベヒモス」、「ベヘモット」、「ベヒーモス」、「バハムート」などと様々な呼ばれ方をしています。

マジック:ザ・ギャザリング 【英語】 【ウェザーライト】 ラノワールのビヒモス/Llanowar Behemoth

マジック初のビヒモスはウェザーライトの《ラノワールのビヒモス/Llanowar Behemoth》。緑の中堅クリーチャーであり、クリーチャー・タイプ「ビヒモス」でのデビューでした。しかし、後続のビヒモスは誰一人「ビヒモス」のクリーチャー・タイプを持たず、これ自身も第9版の再録時にクリーチャー・タイプ再編の一環として「エレメンタル」に変更されるのでした。

マジック:ザ・ギャザリング 【英語】 【テンペスト】水底のビヒモス/Benthic Behemoth

次のテンペストの《水底のビヒモス/Benthic Behemoth》は青の「海蛇(サーペント、Serpent)」として登場。これは原典のビヒモスは水陸両生という設定を反映させたものという見解が有力です。

マジック:ザ・ギャザリング 【英語】 【ネメシス】 スカイシュラウドのビヒモス/Skyshroud Behemoth

ネメシスでビヒモス第3号、《スカイシュラウドのビヒモス/Skyshroud Behemoth》が登場。再び緑のクリーチャーとなり、巨大クリーチャーとしての存在感を見せていました。クリーチャー・タイプは「ビースト」で、この時点でビヒモスは「ビヒモス」ではなく「ビースト」という方針になっていたことがうかがえます。

MTG 青(JUD)寄生牙のベヒモス

ビヒモス第4号はジャッジメントの《寄生牙のベヒモス/Wormfang Behemoth》。青のビーストですが、どう見ても魚にしか見えません。後世のクリーチャー・タイプ大再編ではその辺を鑑みて「魚」のクリーチャー・タイプが与えられました。ちなみにこれだけ「ベヒモス」表記ですが、これは翻訳のごたごたが原因で、意図した使い分けとは考えづらいです。

マジック:ザ・ギャザリング 【英語】 【ダークスティール】 水銀のビヒモス/Quicksilver Behemoth

ビヒモス第5号はダークスティールの《水銀のビヒモス/Quicksilver Behemoth》。これも青のビーストで、この時点で青のビヒモスが多数派となっています。

MTG 緑(PLC)菌類のビヒモス

ビヒモス第6号は次元の混乱の《菌類ビヒモス/Fungal Behemoth》。緑のクリーチャーですが、クリーチャー・タイプは「ビースト」ではなく「ファンガス」。《ラノワールのビヒモス/Llanowar Behemoth》のエレメンタル化といい、ビヒモス=ビーストの位置づけはこのあたりから崩れつつあることがうかがえます。

MTG 国境地帯のビヒモス レア MOR 87/150

ビヒモス第7号はモーニングタイドの《国境地帯のビヒモス/Borderland Behemoth》。今度は赤のクリーチャーで、クリーチャー・タイプも「巨人・戦士」。

MTG 緑(ALA)槍折りのビヒモス MTG 多(ARB)呪文砕きのビヒモス

そして、アラーラの断片ブロックで「ビヒモス」を冠するカードが一気に7枚も登場*1。Doug Beyerによると、アラーラの断片ブロックで「ビヒモス」のクリーチャー・タイプを新設する(復活させる)ことを考えていたそうですが、ハイドラと比べるとマイナーで、《寄生牙のベヒモス/Wormfang Behemoth》のような議論の余地があるものも存在していたことからボツになったようです。

ちなみにアラーラでは「ビヒモス」はガルガンチュアンと同じく、ナヤで神として崇められている巨大ビーストの呼称の1つとされています。MTG Wikiでは《神祖/Godsire》はガルガンチュアンと書かれています(執筆当時)が、《ビヒモスの伝令/Behemoth's Herald》から呼び出されることを考慮すると、ナヤではビヒモスとして扱われていたのかもしれません。

アラーラの断片ブロック以降もときどきビヒモスは登場していますが、クリーチャー・タイプは特に一貫されてはいないようです。Behemothの単語は旧約聖書の怪物のほかに、「巨大な生物・もの」「怪物的な生物・もの」という意味もあります。そのため、近年のビヒモスは伝説上の生き物がモデルというより、単に「デカくて強い奴」程度の意味合いなのだと思います。

参考記事 - http://dougbeyermtg.tumblr.com/post/54494728676/this-ship-may-have-sailed-but-what-about-the

*1:うち2枚はビヒモスをリスペクトしたエルフや大鎚ですが。